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初めての住宅ローン

ローンの金利

長引く経済危機の影響で世界的に金利が引下げられています。
日本の金利はもともと低い水準だったので、その影響は限定的ではありますが、それでも住宅ローンの金利も歴史的な低金利状態にあります。

また、住宅ローン減税も減税額が拡大しており、優良住宅であれば合計600万円までの減税が可能となっています。

このような状況を考えると、これからしばらくは住宅を取得しようと考えている方にとっては、またとないチャンスになりそうです。

はじめてマンションや住宅を購入しようと考えている方のために、「住宅ローンの基本」について説明させていただきますが、まず、はじめは「金利」について。

住宅ローンの月々の返済額は、「借入額」と「金利」と「返済期間」によって決まります。
金利は低い方が良いに決まっていますが、問題は「固定金利」か「変動金利」かの選択です。

固定金利は、返済期間中に金利が上昇しても月々の返済額は変わりませんので、金利が低い時期は固定金利が有利であるというのが原則です。

変動金利は、返済期間中に金利が上昇すると月々の返済額も上昇していきますので、金利が低い時期はお勧めできません。

もうひとつ、現在、銀行などでよく見かけるのが「固定金利選択型」です。これは基本的に変動金利ですが一定期間は固定金利が適用されるものです。

銀行の窓口やインターネットで検索すると、「固定金利選択型」がキャンペーンなどの優遇金利として低い金利で表示されています。
どうしても固定金利選択型が良く見えますが、基本は変動金利ですので、「変動金利住宅ローンのポイント」を理解した上で判断してください。

<変動金利住宅ローンのポイント>
・固定期間を過ぎると金利は6ヶ月ごとに見直しされるが、一定期間(基本は5年)は返済額は変わらない。
これは、金利が上がると返済額の内、利息の割合が高くなり、返済してもなかなか残高が減らないということになる。
・さらに金利が上昇すると、利息の額が月々の返済額を上回り、「未払い利息」が発生する。

金融機関の窓口で、「変動金利でも一定期間は月々の返済額は変わりませんから大丈夫ですよ」などといわれて安心しないようにしてください。

今回の金融危機はサブプライムローンがきっかけでした。サブプライムローンはアメリカの信用度の低い(収入が低い)人向け住宅ローンで、返済当初は比較的金利の低い固定金利ですが、2、3年経つと金利が上昇し、さらに変動金利になるというものです。
普通に考えればとてもハイリスクなローンだといえますが、破綻するまでは「なんとかなるだろう」と考えられていました。

現在の金利水準は、長期的に見れば「異常に低い」と考えるべきでしょう。
5年後、10年後の日本で同じような問題が起きないように、まずは「固定金利」を、固定金利では金利が高すぎると感じる方でも5年以上(できれば10年以上)固定の「固定金利選択型」をお勧めします。

返済方法

住宅ローンを選ぶ際のもうひとつのポイントとなる返済方法について。
返済方法には、「元利均等返済」と「元金均等返済」があります。

元利均等返済は、元金と利息の合計返済額が均等、つまり、毎月の返済額が均等という返済方法です。
メリットは、毎月の返済額が一定なので返済計画が立てやすいことですが、デメリットとして、総返済金額は元金均等返済に比べて多くなることがあります。

元金均等返済は、元金の返済額だけ均等で、利息は元金の残高に応じて返済する、つまり、最初は返済額は多額だけれど、毎月少しづつ返済額が減っていく返済方法です。
メリットは総返済金額が元利均等返済より少なくてすむことですが、デメリットは、当初の返済金額が元利均等返済より多くなるため、所得に占める返済銀額の割合が高くなり、借入れできる上限金額が少なくなってしまうことです。

基本的には、元金均等返済がお勧めなのですが、現実には、借入れできる金額の問題の他にも、元金均等返済が選択できるのは、フラット35や財形融資など公的住宅ローンが中心で、銀行などの住宅ローンでは優遇金利の対象外となっていたりして、選択できる住宅ローンは限定的です。

また、条件的に元金均等返済で住宅ローンが組めるという方も、検討していただきたいことがあります。
それは、返済期間を短くするということです。月々の返済金額に対して、収入金額に余裕がある方は可能な限り返済期間を短くされることをお勧めします。
なぜならば、返済期間を短くすることで、総返済金額を減らすことができるからです。

住宅ローンの探し方

住宅ローンを選ぼうとすると、ネットで検索してもたくさんありすぎて、よくわからなくなりがちです。
そんなときにローン選びの基準としたいのが「フラット35」です。

フラット35は、旧住宅金融公庫の独立行政法人住宅支援機構が銀行などと提携してできた住宅ローンです。
かつては、住宅金融公庫の公庫融資が一般的でしたが、現在はなくなってしまいましたので、フラット35は公庫融資に代わるものだと言ってもいいでしょう。
ポイントは「フラット=固定金利」で、最長「35年ローン」が組めることです。

ほとんどすべての銀行で扱っていますが、金利はその銀行ごとに異なります。
住宅ローンを検討する場合、最初は、普段から使っている銀行でフラット35を利用した場合、自分はどれくらいの金額をどのような金利、条件で借りられるのかを確認することからはじめると良いでしょう。
フラット35は、保証料が必要ない、繰上げ返済がしやすいなどのメリットもあります。
また、優良物件については当初の金利が低い「フラット35S」もあります。

フラット35(S)での諸条件を確認した上で、「もっと自分に適した住宅ローンが他にないか?」というさがし方をすればわかりやすいと思います。

銀行の住宅ローンは、変動金利や固定金利選択型などさまざまな種類があり、迷ってしまいますが、金利の数字だけで判断せずに、保証料、団体信用生命保険料、手続手数料、その他諸経費など「全部でどれだけ費用が掛かるのか」を確認してください。

また、条件的に元金均等返済で住宅ローンが組めるという方も、検討していただきたいことがあります。
それは、返済期間を短くするということです。月々の返済金額に対して、収入金額に余裕がある方は可能な限り返済期間を短くされることをお勧めします。
なぜならば、返済期間を短くすることで、総返済金額を減らすことができるからです。

住宅ローン減税


現在の住宅ローン減税は、控除対象となる住宅ローン残高をこれまでの2,000万円から5,000万円に引き上げ、控除期間はこれまでどおり10年間、控除率は全期間1%(いわゆる200年住宅は1.2%)という内容です。

最大で5,000万円×1%=50万円×10年間=500万円(長期優良住宅は600万円)も所得税が還付されることになります。

これは、所得控除ではなく税額控除ですので、対象となった方は初年度の所得税を確定申告すると最大で50万円戻ってくるということです。

ここでちょっと注意のポイント。
住宅ローン減税は所得税の減税ですので、支払った所得税額以上に減税されることはありません。
つまり、最大の50万円を還付してもらうためには、「50万円以上所得税を支払っていなければ50万円還付されない」ということです。

あくまでも、住宅ローン残高(年末時点)の1%を上限に、その年に支払った所得税の範囲内で還付されることになりますので、予定している住宅ローン借入れ金額と自分の支払った所得税額(勤務先から受取る源泉徴収票で確認してください)を確認してから判断してください。

団体信用生命保険

住宅ローンを借り入れる際に、セットで加入するのが団体信用生命保険(団信)です。

これは、住宅ローンの返済途中で万が一のことがあった場合に、残された遺族が住宅ローンを負担しなくていいように加入するものです。

銀行の住宅ローンは保険料の負担なしにセットされていますが、フラット35は任意加入ですので、別に保険料を支払うことになります。
それでも一般の生命保険に加入するよりは割安です。

奥様にとって、この団信はおおきな安心です。
ご主人に万が一にことがあった場合、多額の住宅ローンが残っていても奥様は自宅を自分のものにすることができます。

また、住宅購入は生命保険見直しのチャンスでもあります。
必要保障額を計算する際に、これまでは「家賃」を含めて計算する必要がありましたが、自宅を買ってしまえば家賃を払う必要はありませんので、その分は必要保障額が少なくなります。

最近は3大疾病保障付の団信も増えてきましたが、一般的に3大疾病になったときの保険金支払条件は厳しいですし、保険料も割高ですので、検討されている方は、きちんと内容を確認し、納得をしてから契約してください。

自己資金

住宅を購入する際に、自己資金(頭金)がどれくらいあって、住宅ローンでどれくらい借りられるのか?というのは基本的なギモンです。

マンションを検討していると、どうしても金額の高い物件の方がずっとよく思えてしまいますが、住宅購入の自己資金は、物件価格の20%程度+諸費用8~10%程度、合計30%程度はほしいものです。
さらに、購入直後もいろいろとお金はかかりますし、貯蓄がゼロになっても困りますので、プラス100~200万円は用意しておくべきでしょう。

世の中には、自己資金ゼロでマンションを買ったという人もいます。現実には自己資金ゼロでもムリをすれば購入は可能ですが、大切なことは「買えるかどうか」ではなく、「返せるかどうか」です。

住宅ローンを返せなくなったら「売ってしまえばいい」と安易に考えている方がいらっしゃるかもしれませんが、わずかな自己資金で購入した場合、ローン残高より高く売却できるケースは極めてまれです。
売却金額でローンを完済できなければ、売却不可能です。

ローンの月々の返済が遅れるようなことがあっても、大きなダメージを受けることになります。
優遇金利で住宅ローンを借りた場合、一般的には2ヵ月返済が遅延すると「優遇」がなくなり、高い金利になります。
3ヵ月遅延すると、「競売」も考慮に入れた上で返済計画の見直しを迫られますので、くれぐれも「返せるかどうか」を十分に考えてから、購入してください。

住宅ローンのリスク

住宅ローンを借りると返済しなければならないのは当然ですが、20年、30年という長期間をきちんと返済していく上で、考えておくリスクが二つあります。

まず一つ目は、元々の借入れ金額が大きすぎて返済に行き詰るリスクです。

これまでの日本経済は、会社員の方々であれば給与は永く働いていれば増えていくものでした。今は月々の返済が苦しくても、将来的には余裕もできるだろうと考えていました。
ところが、世界経済危機以降は企業も雇用を守ることで精一杯となり、楽観的に給与が上がるとは言い切れなくなっています。

また、現在夫婦二人の収入で生活している方は、出産育児などで奥様の収入が一時的に減ってしまう可能性も考えておく必要があります。

もうひとつのリスクは金利の上昇です。

長期の固定金利であれば良いのですが、変動金利や固定期間が短い場合、例えば10年後の将来に金利が上昇すると月々の返済額はどのくらいに上がるのかをシミュレーションしておく必要があります。

現在は、それこそ100年に一度のバーゲンセールのように金利も低い水準ですし、さらには住宅ローン減税もパワーアップしていますので、「買い時」であることは確かだと思いますが、裏返して言えば金利は将来的に上昇していく可能性が高いとも言えます。

繰り上げ返済

住宅ローンの返済が始まったら、まとまったお金の余裕ができたときに「繰上げ返済」を考えてみてください。

繰り上げ返済できる最低金額や、手数料の有無・金額はそれぞれのローンで違いますので、事前に確認が必要です。

繰上げ返済には、返済期間を短くする「期間短縮型」と月々の返済額を少なくする「返済額軽減型」があります。
総返済額を減らすためには「期間短縮型」が効果的ですので、基本は「期間短縮型」だと考えた方がよいでしょう。

特に長期の住宅ローンで、定年後も返済が残るような方は積極的に繰り上げ返済を考えてください。

また、期間短縮型の繰上げ返済は、早い時期であればあるほど効果的ですので、もしも何かの理由でまとまったお金が入ったら、「しばらく様子を見てから」ではなく、早めに検討してみてください。

ただし、何事も過ぎたるは・・・ですので、繰上げ返済貧乏になってもいけませんけど。

相続時精算課税制度

現在はマンションなど住宅を購入するタイミングとしては、またとないチャンスの時期だと言えます。
となると、頭金(自己資金)が多少足りなくても「買ってしまいたい」と思う方も少なくないでしょう。

そんな方のためにポイントを。

もし、ご両親からの資金援助が可能であればお願いしてみることも解決策のひとつです。

本来、ご両親から資金援助を受ければ、その金額には贈与税が課税されます。しかし、贈与を受ける場合に相続税精算課税制度を利用すると、2,500万円まで贈与税が課税されません。

これは、将来、相続で受取る財産を先に受け取って、税金は相続時に精算するというものです。

2,500万円なんて金額を書くと、そんな大金は自分の親には関係ないと感じられるかもしれませんが、2,500万円はあくまでも上限であって、200万円でも500万円でもこの制度の対象になります。

たとえ、ご両親からの援助であっても、ローンの借入れ金額を減らすと、将来の総返済金額は大きく減少しますので、返済がとても楽になります。自分は関係ないと簡単にあきらめずに検討をしてみる価値はあるでしょう。

ただし、ご両親の財産が多い場合(不動産や株式など億単位の財産がある場合)は、この制度を使わない方がよい場合もありますので、ご両親が資産家の方は事前に税理士に相談されることをお勧めします。

所有権登記

購入した住宅は所有権登記をしますが、奥様の名義について「専業主婦は持分を入れる必要はない」とか、逆に「妻は資金を出していないけど夫婦で共有持分にしたい」というお話を伺うことがあります。

しかし、持分割合は資金の負担割合に応じて登記することが原則です。

奥様が専業主婦であっても、奥様の貯金から資金を出したり、奥様のご両親から資金援助を受けたような場合は、奥様の所有権がないと税務署は妻から夫への贈与があったものとみなしてしまいます。

「だれがどれだけ資金負担したのか」ということはきちんとしておかなければ、税務上のトラブルになりかねません。

また、奥様に収入があり、夫婦別々に住宅ローンを借り入れる場合もありますが、この場合も当然に資金の負担割合に応じて持分登記をすることになります。

以前、住宅ローン控除のお話をしましたが、夫婦それぞれで住宅ローンを借りた場合、住宅ローン控除も夫婦それぞれ使うことができますので、資金計画の段階で夫婦それぞれの負担割合もはっきりさせておいてください。